基本理念と発掘計画

 卑弥呼の墓 発掘プロジェクトは、すでに自治体への陳情書の提出を開始しました。2020年5月の二回目の提出では多くの皆様にご協力を頂きました。

 しかし私のアクションばかりが先行し、この計画の基本理念や計画概要をお示ししていなかった事に、今更ながら気が付きました。すみませんでした。

 今回、発掘プロジェクトに対する基本的な考え方、発掘手順の素案、および現時点での問題点などを示して行きます。

 現在はまだまだ「邪馬台国越前説」の認知度が低く、これをいかに高めるかが課題です。紹介用のDVDを作成中ですので、町内会、公民館、学校など、大勢の方々に見て頂ける場をお持ちでしたら、是非お知らせ下さい。

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動画の概要

 今回の動画の内容は、次の二点です。

1.発掘調査における基本理念

2.具体的な発掘の計画案

発掘計画については、大きくボトムアップ型とトップダウン型に分けられます。それぞれに良い面と悪い面がありますので、両方を同時に進行させるつもりです。

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サイトでの理念ページ

 まず、「卑弥呼の墓 発掘プロジェクト」を進めるに当たっての基本理念です。私のサイトの「発掘調査」のページにも記してありますので、ご参照下さい。また、スマホやタブレットの場合は、「卑弥呼の墓 発掘プロジェクト」の動くバナーをタッチすれば、発掘調査のページに入れます。

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基本理念

 発掘調査を行う上で最も重要な事は、

 ・周辺住民の迷惑にならないこと

 ・周辺住民の利益になること

 ・当該自治体の利益になること

 ・法令遵守

と考えています。

 好奇心だけで発掘プロジェクトを実行しては、ただの迷惑行為になってしまいます。

現在その地に生活している人々があっての発掘調査です。特に福井市丸山周辺は住宅地となっており、いたずらに脚光を浴びせる事は、この地で普通に生活している無関係な方々にとっては、迷惑以外の何ものでもありません。

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地元重視

 また、このプロジェクトには不確定要素が多く、たとえ調査に着手できたとしても、思い描く様な出土品が必ず見つかるというものではありません。

 「何も見つからなかった」・・・その場合でも、何らかの利益を地元の人々に還元できる方法を常に考えておく事が、最も重要であると考えます。

 繰り返しになりますが、発掘調査を行う上で、もっとも困難が予想されるのが、何も見つからなかった場合です。

私たちは、この点を常に意識しながら計画を立てています。

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ボトムアップ

 では計画案に入ります。ボトムアップ型の流れです。

 ボトムアップ型は、いわゆる「草の根運動」と呼ばれるもので、地域住民のご理解を得る事から始め、徐々に広域に世論を形成して、最終的に自治体を動かすやり方です。

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トップダウン

 トップダウン型は、知事や市長、議会議員などの自治体のトップに直接働きかけ、大号令の下に実行に移すやり方です。どちらのやり方も重要だと思います。

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研究目的

 具体的な計画案に入ります。

 ボトムアップ型の場合は、発掘の主旨が「研究目的」になります。当初は、この方法を主体に考えていました。

できるだけお金を掛けずに、少しずつ進めて行く事になります。

ところがこの当たり前のようにも思えるやり方は、どこもやっていません。現在の発掘調査で「研究目的」は、ほぼゼロです。全国的に見ても前例がほとんどないのです。研究目的で調査されていたのは、1960年代から1970年代までの高度成長期で、日本列島が乱開発されていた時期です。文化財保護法は1950年には発令されていましたが、まだまだ法律の不備が多かった時代です。

その当時の研究目的というのは、開発工事に先立って大学や地元の古代史家が異議を唱えて、発掘調査を行ったという事例でした。

 私が発掘プロジェクトを立ち上げたばかりの時期に福井市教育委員会文化財保護課様と面談したのですが、その際に指摘されたのもこの点です。「研究目的の発掘は前例がない」。「開発工事に先立つ行政措置」としてのみ、発掘調査を行っている、との事でした。

例えば、新たに道路を作るのに先立って、現地の埋蔵文化財の有無を調査するのが一般的だという事です。

邪馬台国時代の鉄器出土数が日本一多い「林・藤島遺跡」の発見も、まさにこの事例に相当します。

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ボトムアップはリスク大

 当初具体的に考えていた発掘の手順です。

四段階あります。

 第一段階は、試掘です。現在の卑弥呼の墓・丸山古墳には貯水池設備があります。その周辺の数か所を試し掘りして、遺跡の範囲や内容などを把握します。本格的な発掘調査を実施する際の基礎資料とします。

 第二段階は、貯水池周辺の発掘調査です。第一段階の結果から全体像を描き、貯水池周辺に限って調査します。

 第三段階は、古墳全域の発掘調査です。これで卑弥呼の墓・丸山古墳に眠っている遺物の全体像が見える事になります。

 第四段階は、発掘後の跡地活用です。

当初は、このような純粋な研究目的の発掘がベストと考えていたのですが、問題点が多すぎます。

まず、先ほど述べました「研究目的の発掘は前例がない」こと。次に、第一段階の試掘調査で何も出土しなかった場合、次の段階へ進めないこと。つまり、いきなり頓挫してしまうという事です。

たとえ何らかの出土品が見つかり第二段階、第三段階へ進んだとしても、貯水池の移転が必要になるので、数十億円の費用が掛かります。それだけの費用が掛かったにも関わらず、卑弥呼の墓と断定できるだけの遺物が見つからなかった場合には、どうなるのか? 税金の無駄遣いという批判の嵐が待っています。

 つまりこの計画では、「何も見つからなかった」場合に、頓挫するだけならいいのですが、地域住民に何の利益があったのか? という基本理念に反する結果になってしまいます。

 このように、ボトムアップ型の発掘にはリスクが大きすぎると考えています。

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ビジョンの提案

 次に、トップダウン型です。これの具体的な計画案は策定中ですので、今回は大枠だけを述べる事にします。

一言で言えば、跡地活用のビジョンから入る方法です。つまり開発事業の提案を自治体の議員さんに持って行き、議会を通してもらうというやり方です。

とかく税金の無駄遣いという批判の多い箱物行政ですので、どこにでもある博物館を作るだけのような提案では、見向きもされないでしょう。神奈川県横浜市に住む私だからこそ見える福井県の問題点と、その解決策を盛り込みます。自治体全域を巻き込むという一ひねりした腹案を持っていますので、いずれご紹介します。

 この場合は、「研究目的」ではなく、「開発工事に先立つ行政措置」となりますので、文化財保護センター様のご協力も得やすくなります。同時に、発掘によって「何も見つからなかった」場合でも、開発事業の一環だという大義が成り立ちます。

 私たちの基本理念である「周辺住民の皆様の利益になること」を念頭に置いて、アイデアを出して行くつもりです。

トップダウンで発掘調査を行うにしても、地元の皆様のご理解は不可欠ですので、草の根のボトムアップと並行して実行して行きたいと思っています。

 当初、自治体に金銭的な負担を掛けないようにボトムアップだけを考えていたのですが、発掘にお金が掛かってもそれ以上の利益を地元に還元する方がベターと考えています。

利権団体が支援している議員さん。利権団体以外の団体が支援している議員さん。両者から支持を得られる方策を示して行きます。

 いずれにしても、「邪馬台国越前説」の認知度を高めない事には、何も始まらないのが現状です。

繰り返しになりますが、現在、紹介用のDVDを作成中ですので、町内会、公民館、学校など、大勢の方に見て頂ける場をお持ちの方、是非お知らせ下さい。また、皆さまからのアイデアもお待ちしています。一緒に実現させましょう!

なお先日、福井市議会議長の堀川秀樹様から、地元メディアへ打診して下さる旨の嬉しいメッセージがありました。

カタツムリの歩みのように、少しずつ進めて行きます。

 まずは、phase 1 の完遂を目指します。

 

発掘計画

               phase 1

               phase 2

               phase 3

               phase 4

               phase 5 (夢)