邪馬台国のあった越前・福井平野には、三本の大河が流れています。九頭竜川、日野川、足羽川です。卑弥呼時代の中心地は、九頭竜川水系です。鉄器の大量出土や、翡翠工房跡、卑弥呼の墓などが存在します。それ以前は、日野川水系が中心でした。紀元前の大王の墓や出土品が見つかっています。
今回は三番目の大河、足羽川水系です。この流域は、弥生時代の遺跡や墳墓は少ないものの、三角縁神獣鏡などの出土品があります。また、四世紀の古墳からは、金・銀の王冠が見つかるなど、卑弥呼・壱与の次の世代の遺跡が存在しています。
これは、邪馬台国があった越前・福井平野です。ここには、九頭竜川、日野川、足羽川という3つの大河が流れています。
これまで、九頭竜川水系の「卑弥呼の墓」周辺、および日野川水系のJR鯖江駅周辺を散策しました。今回は、足羽川水系の遺跡群を調査して、現地を散策しました。
これは、足羽川流域を拡大した地図です。
主な古墳群としては、山側に、花野谷古墳群、酒生古墳群、御茸山古墳群があります。また、平地には、荒木遺跡があります。この内、弥生時代の遺跡は、荒木遺跡と花野谷一号墳です。
荒木遺跡からは、二世紀から三世紀頃の弥生時代の土器が、大量に出土しており、卑弥呼時代の集落がありました。卑弥呼の墓から南へ2.5キロの地点なので、足羽川水系の集落というよりも、九頭竜川から連なる弥生集落群の一部と考えられます。
また、花野谷一号墳からは、三角縁神獣鏡や連孤文銘帯鏡(れんこもんめいたいきょう)などが出土しています。
今回は、この荒木遺跡と花野谷一号墳を散策しました。
越前・邪馬台国は、銅鏡・銅鐸などの青銅器の出土が少ない地域です。これは、卑弥呼が実用性の無い青銅器に興味が無かった為です。魏から下賜された銅鏡も、家臣達に配り、5世紀の継体天皇の時代に近畿に運ばれました。
今回の、花野谷1号墳出土の三角縁神獣鏡は、奈良県天理市黒塚古墳の29号鏡・30号鏡、および福岡県京都郡苅田町の石塚山古墳から出土の三角縁神獣鏡と同笵・同型鏡です。
また、連孤文銘帯鏡は中国の前漢時代(紀元前2世紀)の銅鏡です。
これら2個は、花野谷一号墳という同じ場所から発見されました。おそらく、北部九州から邪馬台国・越前への貢物として運び込まれた物です。これは、越前が近畿を制圧した後も、越前に残った豪族の宝物だったと推測されます。