王山古墳群

 引き続き、越前・鯖江の散策です。

 邪馬台国の支所・鯖江の中で、最も良く整備・保存されている墳墓群は、王山古墳群です。

墳墓造成の時代も広く、紀元前の弥生時代中期から古墳時代に渡っています。

 特に、紀元前1世紀の大王の墓もありますので、この鯖江の地が邪馬台国発祥の地の可能性があります。

 なお、出土された土器類には、周辺諸国の近江系や東海系のものも含まれています。

 これは邪馬台国・越前への上納品として運ばれたものと見られ、その窓口として鯖江が存在していたと考えられます。

 今回は、この王山古墳群を散策しました。

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王山古墳群の特徴。[邪馬台国]

 これは、JR鯖江駅の周辺の地図です。

このエリアには、前回紹介した長泉寺山古墳群と、今回の王山古墳群があります。

王山古墳群は、国の史跡に指定されており、歴史・学術上価値の高いものと認められています。

墳墓・古墳の数は、54基ほどで、時代としては、弥生時代中期から古墳時代後期頃までです。

出土した土器には、近江系や東海系のものも含まれていますので、この地が、近隣諸国から邪馬台国へ朝貢に訪れる豪族たちの、窓口だったと考えられます。

 詳しい資料は、鯖江市の歴史博物館・まなべの館にて入手できました。

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王山古墳群の方墳と円墳。[邪馬台国]

 これは、王山古墳群を拡大した地図です。

縦300m、横200m、高さ70mほどの小さな山に、54基の墳墓や古墳が密集しています。

円墳と方墳の分布です。

山全体に、墳墓や古墳が分布しています。

時代は、紀元前1世紀から4世紀までと広く、邪馬台国時代の前の時代から、古墳時代が始まるころまでの古い墳墓が多いのが特徴です。

 これらの中で特筆すべきは、40号墳と31号墳です。

 40号墳は紀元前1世紀の方形周溝墓の25m四方の大きさで、この山の最も高い場所に位置しています。王山古墳群の中では、最大で最古の墳墓ですので、鯖江の地を開拓した大王の墓と見られます。

 また、卑弥呼の時代よりも300年も古いので、紀元前までは鯖江の地が、邪馬台国の発祥であり中心だったのかも知れません。

 31号墳は、3世紀末の墳墓です。鉄剣、鉄鎌、鉄鏃、鉄斧、臼玉など多くの副葬品が出土しています。卑弥呼の宗女・壱与の時代の貴重品な品々です。

 前回の長泉寺山古墳群とは異なり、墳墓の保存状態が良く、副葬品も豊富な事から、国の史跡に指定されたのも頷けます。

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王山古墳群の出土品。[邪馬台国]

 王山古墳群は、JR鯖江駅から徒歩5分の便利な場所ながら、観光地化されていない為、人影は全くありませんでした。

 それでも国の史跡だけあって、山道は整備され、安心して散策できる場所でした。

 全体を見るのに、わずか20分位で見れてしまうほど、密集した古墳群でした。

短い時間で、紀元前1世紀からの500年間を、墳墓を通して楽しむ事が出来ます。丁度、邪馬台国が出現し、消滅するまでの時間です。

 

 紀元前1世紀の40号墳は、南側に開けた景色が眺められ、邪馬台国建国の大王が眠っているのを体感出来ました。