新たに「書評シリーズ」を始めます。主に古代史関連で、私が気になった書籍の寸評を述べて行きます。
今回は、「妄想 真説 日本古代史」という本です。2020年5月に、著者の方から突然メールを頂き、贈って頂いたものです。私のYouTube動画が創作の発端になったとの事で、恐悦至極に存じております。大先輩の作品ですので「批評」というおこがましいまねは出来ません。内容の紹介程度に留めておきます。
Amazon.comにて販売していますので、是非ご一読下さい。
書籍のタイトルは、「妄想 真説 日本古代史」です。著者は鈴木健介様とおっしゃる埼玉県にお住まいの方です。
今回の動画では、次の順序で進めて参ります。
・著者のプロフィール
・序文
・目次
・私の感想
鈴木健介様のプロフィールです。
1939年 東京都大田区に生まれる
1963年 東京大学農学部木材化学教室卒業
1967年より2年間、東大生産技術研究所電気化学・光化学工学教室にて、研究に従事
化学系会社にて研究開発に従事したのち、独立
事業引退後、フリー。
2019年 病床にて日本の古代史を見直し、門外漢ながら修正案を発表するに至る
最初に私が感じたのは、「やっぱり」でした。というのは、私の説を支持して下さるのは、ほとんどが理系出身の方々だからです。文系的な古文書第一主義の情緒的な思考とは、一線を画しているからかも?と思っています。
それと、「研究開発に従事したのち、独立」、というご経歴も私と同じです。
次に、創作の意図を知って頂く為に、序文を紹介します。
はじめに~古代日本史の妄想
80歳の爺がインターネットを見て日本の古代史を妄想してしまった。
今までの歴史書に大いに不満があったので、自分でインターネットを見ているうちに妄想が次々と表れ、今までとは全く異なる見解に到達してしまったのである。特に古事記、日本書紀を基本として解説した歴史本に対する反論になっている。
以前からいろいろ疑問に思っていたことがほとんど違和感無いように構成することができたかと思っている。
もう突然、横から”ブスッ”と刺されても諦めのつく年齢になったので、あえて発表させてもらうことにする。
古代史に感じた違和感
最近の韓国、中国の歴史認識の異常さが気になっていたが、国内でも歴史に関する一般書籍が多数販売されてきた。しかし、前から古事記・日本書紀の内容に違和感を覚え、これをもとに日本の古代史を語ることに抵抗を感じていた。そこで最近入手したスマホなどを使って、手軽に利用できるようになったインターネットを頼りに、歴史について調べてみることにした。その結果、思わぬ発見をし、妄想を膨らませることになったわけである。
前から感じていた点は、古事記・日本書紀は藤原氏により大幅に改ざんされているはずであり、日本の本当の古代の歴史が見えなくなっているという点である。
今回いろいろ調べて分かったことは、古事記・日本書紀を日本の歴史の基本とするのではなく、学者たちがよく偽書とか言っている「ホツマツタエ(秀真伝)」を天皇家の歴史書の中心とし、補足として「正統・竹内文書(茨城版竹内文書ではない)」や「物部文書」などを採用すべきであると考えたのである。「宮下文書」についても、適切な配慮をして読み取れば大変役に立つと思っている。
これらの解説やその他のさまざまな方たちの意見を参考に、素人ながらも自分の納得できる日本の古代史を妄想したので、この誌面にて発表することとしたい。
次に、目次の抜粋です。時代の範囲は、縄文時代前期から平安時代までと、広範囲に渡っています。
1.縄文時代前期
2.縄文時代中期-縄文人村落の形成
3.縄文時代後期-縄文国家の形成
4.縄文時代末期の大事件
5.イスラエルから日本へ帰還した人達による縄文人文明の大変革
6.神武東征から神武朝廷の宣言
7.古墳時代
8.中央集権体制の確立
9.藤原氏の復権と古事記、日本書紀による歴史改ざん
10.奈良時代
11.平安時代
12.敗戦に伴うGHQによる戦後体制の構築
これだけの広い範囲の時代を、100ページほどで纏めてあります。おそらく書き足りなかったのではないか、と想像しました。しかしその分、理論的で、余計な修飾語が無く、要点がきっちりと整理されています。
歴史作家にありがちな、ファンタジーの上に更にファンタジーを積み上げて、やたらとページ数を稼いでいる書物をよく見かけますが、この本はその手の書物ではありません。
最後に、私の感想です。
この書籍の中で「越前王国の存在」について、私の説を参考にして頂いたようです。
古代日本に於いては、日本海側に強力な勢力があった事や、古事記・日本書紀という「正統な歴史書」とされる書物を信用しない姿勢は、私と同じです。
もちろん、異議を唱えたい部分も多々あります。しかしながら、この場での指摘は差し控えます。古代史は全てが可能性がある仮説ですので、全てが「正しい答え」だと思っています。
皆様に読んで頂いて、それぞれの感想をお持ちになるのがよろしいかと思います。
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私は、邪馬台国越前説を唱えていますが、その根幹は「古代の農業」です。越前については、枝葉に過ぎません。
鈴木様には「越前王国」を参考にして頂いたのですが、農業の視点については、いかにお考えなのかを知りたいと思いました。東京大学農学部のご出身という専門的に学ばれた方ですので、その見地からのご意見が欲しかったです。
何はともあれ、大先輩の創作の発端になれた事は、この上ない名誉なことです。ありがとうございました。