万世一系説を論破する

 「天皇家が2600年前から続いている」というファンタジーは、完全に崩壊しました。考古学の成果などによって、科学的に有り得ない事が実証されているからです。ところが、安直に万世一系を主張する残滓が未だに存在しています。天皇家の顔色を伺いながら、大衆受けする論調で扇動している輩です。

彼らは、マスコミに万世一系の記事を書く事で日銭を稼いでいる「御用学者」です。

 今回は、このような現代科学を冒涜する不届き者の主張を論破します。

論破10
万世一系

 万世一系を主張して日銭を稼いでいる「御用学者」は、現代にも多く存在しています。代表的なのは、明治天皇の玄孫を名乗る人物や、元高級官僚の歴史作家など、「おりこうさん」タイプが多いようです。

学校秀才型で、日本書紀を歴史の教科書と信じ込んでいる方々です。おりこうさんは教科書こそが全てですので、それ以外の考え方を一切受け入れないという排他的で、唯我独尊の論調が目立ちます。

 彼らの論旨に共通しているのは、

・『日本書紀』は正史であり、国際的にも通用している

・初代神武天皇から続く万世一系は真実である

・王朝交代など、あってはならない

などです。

 いずれもナンセンス極まりないですね。

 科学的な根拠よりも、情緒的な「こうだったらいいのにな」という妄想を、真実と思い込んでいる節があります。

立派な学歴をお持ちの方々ですが、説得力のない非論理的な思考が目立ちます。

文献史という文字の上の根拠だけを拠り所にした、一本足の論理展開なので、論調に深みがありません。

 まあぁ、天皇の玄孫であれば、自分のご先祖様が2800年前から続いていると思いたい、そんな切ない気持ちも

分からないではないですが。点点点。

 もちろん私も、情緒的には万世一系であってほしい、とは思っていますが。

それはそれ、これはこれです。

論破20
日本書紀

 万世一系説を論破する前に、日本書紀の大前提を確認しておきます。

日本書紀は、西暦720年に舎人親王(とねりしんのう)らによって編纂された現存する日本最古の正史です。

正史とは、正しい歴史という意味ではなく、正統な歴史という意味です。その時代の権力者を正当化する為に書かれた歴史書ですので、我が身がいかに正しく素晴らしいかを賛美して、敵対した勢力は徹底的に悪者扱いしたり、不都合な事実は隠蔽しています。

 実際に天皇家のご先祖様は、天照大神から瓊瓊杵尊に続く神様とされていますし、日本書紀編纂時の権力者・藤原氏に敵対した蘇我氏は、徹底的に悪者とされています。また、万世一系にとって不都合な継体天皇の存在はショボいものです。

 この日本書紀を、すべて正しい記述がされている教科書としてしまえば、万世一系は至極当然であり、王朝交代など、あるはずはない事なのです。

 なお、後漢書、三国志、宋書など、古代中国の正史とされている歴史書は、いずれもそれらの王朝が滅んだ後に書かれています。比較的フラットな視線で正しい歴史が描写されている信頼性の高い歴史書と言って良いでしょう。ところが日本書紀の場合は、現代でも継続している王朝・天皇家の歴史書です。天皇家に忖度した内容になっているのは自明です。

 中国史書の信頼性に比べて、日本書紀の信頼性が格段に低いのは、子供にだって分かります。

論破30
妄信してはダメ

 このような日本書紀を学校秀才型のおりこうさん達は、完全無欠の教科書として崇めているのです。

確かに、日本書紀や古事記という現存する古文書を無視しては、古代の日本の姿は全く見えてきません。古代史のアウトライン程度は参考にすべきでしょう。そして、文献に書かれている内容を文字の上だけでなく、科学的に検証する事が重要です。

考古学や地学、農学、地政学、海洋学、天文学、そしてその当時の政治状況など様々な検証を行って、それに一致する記述のみを事実とすべきです。

日本書紀を盲目的に信用してはいけません。

論破40
欧米か!

 さらに万世一系論者は、「日本書紀という正史において採用され国内的にも国際的にも通用していたから、その内容が事実だ」と言い張ります。それならば、科学的に矛盾する数々の事象が明らかに自然だということを立証すべきでしょう。

 但し、国内的に通用していたのは認めます。日本列島の民族が世界でも最も優れているのは、皇国史観の元に、日本書紀を根幹として歴史を繋いできたからこそです。しかし、「国際的にも通用していた」とは抱腹絶倒です。

どこの国のどの人が、日本書紀を理解して認めたのでしょうか? 逆に、外国人で、日本の古代の歴史書を否定するような、無礼な輩はいないでしょう。もちろん例外はいますが。点点点。

 日本人だって、中国の歴史書にケチをつけたり、ヨーロッパ各国の歴史書にケチをつけたりしないでしょう?

そもそも、日本の歴史でさえ解明されていないのに、他国の歴史に口出しなど出来ません。

 「国際的には」とか、「欧米では」とか、言うのは、 国際人を気取った評論家の常套句です。これほど当てにならないものはありません。

論破50
あってはならない

 万世一系論者は、王朝交代説を頭ごなしに否定します。

特に、考古学などの成果から実在が明確な、継体天皇の時代に新王朝に交代しているのでないか、という議論には異常にムキになって反駁します。あたかも、本当のことを言われて怒り出す子供のように。

 彼らは、王朝交代が起こったならば、継体天皇は『日本書紀』で華々しい英雄とは書かれていない。とか、大きな戦いがあったとは書かれていない。とか、あるいは、

『日本書紀』の完成は継体天皇の時代からたったの200年ほど後なので、即位の経緯についての記憶は風化していないはずだ。

 などという学校秀才にしては非常に幼稚な論理展開です。日本書紀は万世一系を大前提に書かれているので当たり前です。分かり切った事を言っているに過ぎません。

 王朝交代説の論者は、日本書紀に書かれている内容などは百も承知です。その上で、唱えているのです。

 私の王朝交代説については、以前の動画で説明しています。古文書だけでなく、科学的な視点や、政治的な視点も取り入れています。ここでは詳細を控えます。

 守旧派と呼ばれる人々は常に存在します。幼少時から皇国史観を刷り込まれてきた人々です。

面白い事に、万世一系論者のほとんどは、「初期の天皇の長寿は科学的でない」と言っています。科学的という言葉を用いるならば、自分の都合の良いところだけでなく、日本書紀の全てを「科学」の物差しで測るべきでしょう。

所詮は、御用学者のご都合主義なのです。

 「初代・神武天皇は存在していた」という想像力が逞しいのも良いですが、科学的な根拠を示さない限り、万世一系を肯定する議論にはなりません。